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『歯と口の健康をつくる』豆知識

『歯と口の健康をつくる』豆知識

オーラルフレイル

1.オーラルフレイルとは

オーラルフレイル」という言葉を知っていますか?
フレイルとは直訳すると「虚弱」となります。つまりオーラルフレイルとは「歯、口の機能の虚弱」となります。
 歯、口の健康をおろそかにすると、噛む力や舌の動きも悪くなること等から栄養摂取の面で支障を及ぼすとともに、滑舌が悪くなったりすることで、人との交流を避けるようになったり、家に閉じこもりがちになったりします。
 つまり、高齢期において人とのつながりや生活の広がり、誰かと食事をする等といった「社会性」が維持できなくなると、活動量、精神・心理状態、歯・口の機能、食・栄養状態、身体機能など、多岐にわたる健康分野に影響を与えます。
 この「社会性」が欠如していくと、低筋力や低身体機能などの「サルコぺニア」(加齢性筋肉減弱症)や低栄養などによる生活機能の低下を招き、ひいては要介護状態に陥ることが懸念されています。

2.歯、口の健康のエビデンス

①歯の本数が多いほど、生年数が長い
②歯の本数が多いほど、また義歯による機能回復をするほど認知症発症が少ない
③歯を失い、義歯を使用していないと転倒リスクが高まる
寿命や高齢期の健康との関係でも以上のようなことが判明しています。
つまり「口腔の健康が保たれていると老化防止にもつながります」

3.オーラルフレイルの予防 

①社会性
バランスの良い食事と歯・口の定期的な管理
③運動
この3つを維持することが健康長寿につながります
歯科の観点からは、②を維持するために歯周病や虫歯、歯を喪失した時に速やかに治療を受けることはもちろん定期的に歯科医院にて検診を受けるようにしていただきたい。

4.歯科医師会としての活動

日本歯科医師会はこの「オーラルフレイル」を「8020運動」に加え新たな国民運動として展開し、健康長寿をサポートするべく発信、啓発していきます。
「しっかり噛んで、しっかり食べ、しっかり動く、そして社会参加を!」
という基本概念を再認識して健康寿命延伸のための歯科医療・口腔保健をテーマにしていきます。

 ※上記は日本歯科医師会ホームページおよび
  日本歯科医師会「社会保障制度改革国民会議提出資料」より引用  

0歳児からの虫歯予防

はじめに

 「虫歯は遺伝する」 そう信じている人はいませんか?
虫歯の主な原因菌はミュータンス菌です、でも生まれたばかりの赤ちゃんにはミュータンス菌は存在しません、ではどこからやってくるのでしょうか?
 実は 子育てをしている周りの人(多くの場合は両親)の唾液を介して赤ちゃんの口の中に入ってきます。
 でもすぐに虫歯になるわけではありません、ある程度以上の菌が入って定着し増殖をして、そこに砂糖という栄養があるという環境ができると虫歯になる危険性が増加します。

出産の前にできること

妊娠中の歯科治療

 両親の口の中のミュータンス菌の数をできるだけ減らし活性を低くしておくこと、つまり虫歯があれば完全に治療をして口の中をよくブラッシングを行い清潔に保っておくことです。妊娠中でも安定期であれば通常の歯科治療は問題なく行えます。
 また、子供の歯が生え始めるのは生後6~8か月ですが、歯のもとになる歯胚ができ始めるのは妊娠7~10週頃です。妊娠4~5か月頃から歯胚にカルシウムやリンがくっついて歯を形成していきます。
 妊娠中は歯を固くするカルシウムやリンばかりでなく、歯胚の形成に役立つ良質のタンパク質、カルシウムの代謝を助けるビタミンD,Eや歯質の基礎を作るビタミンA,Cなどバランス良く食事を摂る様にしましょう。

乳幼児期にする事

乳幼児期の歯科ケア
  1. 歯が生えてきたら良くお口の中を観察しましょう 
     そして歯ブラシやガーゼなどで歯の清掃を行いましょう
  2. 母乳、ほ乳ビンを卒業しましょう
     いつまでも母乳、ほ乳ビンを与えていると虫歯になりやすい環境になります、原因としては授乳方法に問題があります
      ①寝付かせるために授乳させそのまま寝てしまう
      ②ほ乳ビンにスポーツドリンクなど酸性の飲料を入れ飲ませる
      ③ほ乳ビンを子供に持たせ与えっぱなしにしている
    など育児には色々な考えがあり早い離乳を勧めない考えもありますが 虫歯の予防の観点からは1~1.5歳ぐらいまでに卒業できると好いでしょう。
  3. 虫歯の発生は生活習慣が反映されています
     だらだら間食をし続ける、砂糖がたくさん入ったスポーツドリンクを好んで飲む、丁寧なブラッシングをしない等の生活習慣が虫歯を作ります。生活習慣を見直し虫歯ができるのを防ぎましょう。
  4. プロフェッショナルケアを受けましょう
     予防の概念が進んでいるスウェーデンでは生まれてから20歳までの間は半年に1度歯のクリーニングとチェックをすることが義務づけられています。予防やメインテナンスをすることにより就学児童で虫歯になっている子はほとんど0だそうです。
     かかりつけ歯科医を持ち定期的に通いアドバイス、クリーニングを受け子供を虫歯から守りましょう。

健康寿命を延ばす

健康寿命とはどのようなもの?

健康寿命とは、心身ともに健康な状態で日常生活を送れる期間のことです。
2000年にWHO(世界保健機構)が健康寿命を提唱して以来、寿命を延ばすだけでなく
健康に生活できる期間を延ばすかに関心が高まっています。
平成25年度の厚生労働省の資料によると平均寿命と健康寿命との間には、男性で約9年女性で約13年の差があります。

平均寿命と健康寿命の差

健康寿命について、平成13年と平成22年を比べると、男性は69.40歳から70.42歳へと1.02歳、女性は72.65歳から73.62歳と0.97歳延びています。
一方、平均寿命をみると、同時期で、男性は78.07歳から79.55歳へと1.48歳、女性は84.93歳から86.30歳へと1.37歳延びています。
つまり平均寿命と健康寿命の差が拡大しています。

今後、平均寿命が延びるにつれて、健康寿命との差が拡大すれば健康上の問題だけでなく医療費や介護費の増大による家計費の影響も懸念されます。

健康寿命を延ばすためには

健康増進、疾病の予防および早期発見、適切な治療管理による重症化予防、さらには介護予防や介護サービスなど、様々な取り組みが必要となってきます。
しかしなによりも、日頃の全身管理の健康診断や、咬む力を維持するためのお口のケアが大切です。
全身疾患との関わりの深い歯周病の予防・治療のために、歯科医院での健診も必要となってきます。

噛むことの効能

噛むことの説明

噛むことには様々な効能があります。体の健康を維持するのに重要な器官である歯を健康に保ち、よく噛めることのできるお口を作ることが体調を良くし、長生きにつながり人生を豊かにします。下記にその効果を照会します。

  • 脳 の 活 性 化 
     よく噛むことで脳細胞の活動が活発化し、脳に酸素と栄養が送られ、脳の機能を活性化します。
  • 肥 満 を 防 ぐ 
     噛むという刺激は、満腹中枢に働き食事の摂りすぎを防ぎます。食べ始めて30分程で脳の満腹中枢が作用し食欲を抑えます。
  • 味 覚 の 発 達
     よく噛み食材そのものの持つ味を味わうようにすることで味覚を発達させます。
  • 栄養の吸収を助ける
     歯で食べ物を噛み砕き、消化酵素を含む唾液と混ぜ合わせることで胃腸の消化機能を助けます。
  • 歯の病気 を 防ぐ
     よく噛んで食べると唾液が沢山でます。唾液には歯を硬くし丈夫にしたり、細菌感染を防ぐ効果があり、虫歯や歯周病を防ぎます。
  • が ん を 防 ぐ
     唾液に含まれる酵素ペルオキシターゼの働きにより、発がん物質の発がん作用を消す働きがあるといわれています。
  • 顔の表情をよくする
     噛むことにより顔の筋肉が鍛えられ、表情をよくすると言われています。
  • そ の ほ か に
     視力低下予防・発音を良くする・頭痛、腰痛予防なども言われます。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、

誤嚥性肺炎の原因

 誤嚥性肺炎とは、高齢者に多くみられるもので、食べ物や唾液を謝って気管に入れてしまうこと(誤嚥)により炎症が起こったり、そこに含まれる細菌が気管から肺に入り込む事で起こる肺炎のことをいいます。
 気管にものや唾液が入ればむせて分かりますが、寝ている時には気づきにくいものです。
 高齢者、特に、脳卒中、脳神経系や筋肉障害を生じた方は、嚥下機能の低下や抵抗力低下により誤嚥しやすくかかりやすいと言われています。
  (右の図をクリックすると拡大できます。)

治療は、

 治療は、抗生剤やステロイドなどの薬物治療がほとんどですが、いったん発症すると治療は困難で、死亡率も高いと言われています。その為予防をすることが大切です。予防を行うことで発症を抑制できます。

予防法は、

お口のケアを行うだけでも予防につながります。

  • 食べ物を噛み砕きやすいお口の中をつくることです。
    虫歯、歯周病などの治療をし、咬合の改善をはかります。

  • お口の中を清潔に保ちます。
     お口の中には多くの細菌が住んでいて、歯磨きを怠ると細菌が繁殖します。
    自宅では歯磨きやうがいをしっかり行い、
    歯科医院で定期的に清掃を行いお口の中を清潔にしておくことで、細菌の繁殖を抑えるようにします。

周術期歯科医療

  • 周術期歯科医療
    抗がん剤を用いたがんの治療には、高い頻度で口腔内に口内炎等の合併症が発生します。また、全身麻酔が必要な大きな手術や、放射線治療を行う前にしっかりとした口腔のケアを行うと術後の肺炎等の合併症の予防や、治療成績の向上が期待できるといわれています。
    近年では、がんの治療や大きな手術の前後にしっかりとした口腔ケアを行うことが常識となりつつあります。
     これらを含めて周術期歯科医療と呼びます。
    しかし、大きな病気が発見されてから慌てて口腔ケアを行うより、日ごろから定期検診を受けて良好な口腔内の状態を保つことが大切です。
  • 口腔内の健康は、医療費全体の削減につながる
    歯周病は、世界中の多くの人が罹患しており、自覚症状がほとんど無しに進行する厄介な病気です。
     歯周病の原因は、プラーク中の細菌です。歯周ポケット内に生息する細菌や細菌の出す内毒素、酵素、そして炎症が起きて出される生理活性物質が血管やリンパ管を通り、全身の循環系に作用し、心臓疾患や動脈硬化、さらには脳梗塞にまで関連します。
     妊娠時には早産にまで影響を及ぼすことが示されています。また、誤嚥性肺炎を起こした患者の肺から歯周病菌が高い頻度で認められます。糖尿病、骨粗しょう症、リュウマチなども歯周病菌との関連が認められています。
     以上の様に、歯周病を予防することで様々な病気の発症リスクの低減が可能であると言えます。
    すなわち口腔内の健康は、医療費抑制に効果があり、口腔ケアを行うことは医療費全体の削減につながり、健康寿命を延ばすことが可能となります。

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